# 集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ
## Metadata
* Author: [西垣通](https://www.amazon.comundefined)
* ASIN: B01N7LYTKI
* Reference: https://www.amazon.com/dp/B01N7LYTKI
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## Highlights
情報寄せ集めモデルとは、部分的な情報を上手に抽出することによって全体像のありさまを当てる、という考え方が基本で、 — location: [422](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=422) ^ref-40919
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ただし、そのための条件として、未知の事柄について人々のあいだに集団的偏見がなく、あくまで中立にランダムな判断をするという仮定が本質的な役割をはたしていることを、決して忘れてはなら — location: [444](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=444) ^ref-56428
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推測モデル(推測の仕方)による多様性がうまれる。 — location: [456](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=456) ^ref-51176
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集団誤差=平均個人誤差 分散値 — location: [479](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=479) ^ref-33135
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集合知定理がしめすのは、集団における個々人の推測の誤差(第一項)は多様性(第二項)によって相殺され、結果的に集団としては正解に近い推測ができる、ということである。均質な集団ではこの利点を活かせないが(仮に分散値ゼロならたった一人の推測と同じ)、さまざまな推測モデルをもつ多様な集団なら、個々人がかなりいい加減な推測をしても、集団全体としては正しい推測が可能になるのだ。 — location: [483](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=483) ^ref-26931
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推測をおこなうメンバーのそれぞれの推測モデルの質がよいこと、しかも多様な推測モデルが用いられることが、集合知によって正解がえらえる条件にほかならない。 — location: [489](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=489) ^ref-27248
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集団のメンバーのそれぞれが合理的な価値判断(対象の順序づけ)をしていても、つねに集団の「総意」として合理的な順序づけをあたえるようなルールは存在しない( — location: [531](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=531) ^ref-10425
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客観知識とは実は、「権威づけられた主観知識」に他ならないのである。 — location: [1192](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=1192) ^ref-20316
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コミュニケーションとプロパゲーションをつうじて、クオリアのような主観的な一人称の世界認識から、(疑似)客観的な三人称の知識が創出されていく。 — location: [1327](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=1327) ^ref-61912
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たとえば、企業のある部門の活動状況は、部長の報告によって表現されるが、それは氷山の一角にすぎない。水面下では、当部門の構成メンバーによって、暗黙のうちに多様なダイナミックスが実行されている。これに光をあてることで、集団におけるさまざまな問題を 剔出 することもできる。そういうITの活用法はないだろうか。 — location: [2124](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=2124) ^ref-28472
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第二に、「一〇年以内に首都を東京から遷都すべきか」といった、正解がなく、人々の意見や価値観が対立している問題についてはどうだろうか。第一章でのべたように、これにたいして拙速に集合知を採用することは禁物である。ネット投票を利用して直接民主主義的な決定をくだすのは容易だろうが、それが人々を真に満足させる保証はまったくない。 — location: [2220](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=2220) ^ref-20386
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つまり、この種の問題にたいしては、第一の問題とは逆のアプローチが必要なのだ。人々の独立した多様な思考を前提としていきなり多数決をおこなうのではなく、むしろ多様な意見や価値観をもつ人々が、相互討論をつうじて妥協できる合意点をみつけていく努力が肝心なのである。 — location: [2225](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=2225) ^ref-16712
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数で少数意見を切り捨てる事実上のネット独裁主義」とは正反対の方向をめざしていることはすぐわかるだろう。 — location: [2229](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=2229) ^ref-18772
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客観知やそれらを結ぶ論理体系とはいったい何だろうか。――それは、集団行動生物であるわれわれ人間が、主観世界の食い違いのために闘争をくり返さないため、安全で便利な日常生活をおくるために、衆知をあわせて創りあげた一種の知恵のようなものだと考えられる。 — location: [2288](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=2288) ^ref-13806
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大切なのは、ローカルな社会集団内でのコミュニケーションの密度をあげ、活性化していくためのITだろう。 言いかえると、社会集団の下位レベルにある暗黙知や感性的な深層をすくいあげ、明示化するような機能が、ITに期待されるのである。 — location: [2412](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=2412) ^ref-14795
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専門知のみならず一般の人々の多様な「主観知」が、互いに相対的な位置をたもって交流しつつ、ネットを介して一種のゆるやかな社会的秩序を形成していくのではないだろうか。それが二一世紀情報社会の、望ましいあり方ではないのだろうか。 — location: [2473](kindle://book?action=open&asin=B01N7LYTKI&location=2473) ^ref-53589
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